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201試験(Version 10.0)出題範囲
LinuCレベル2に認定されるためには201試験と202試験に合格し、かつ、有意なレベル1認定を保有している必要があります。
どの試験から受験しても構いません。
レベル2の出題範囲ではLinuxのディストリビューションに共通するLinux技術者にとって必要な高度な技術をカバーしています。
出題範囲のそれぞれの項目には、重要度として重み付けがなされています。
重要度は、それぞれのトピックスの相対的な重要性を示しています。重要度が高いトピックスほど、試験において多くの問題が出題されます。
なにを優先して勉強すべきか?
重要度を参考に考えますと、以下を最優先に勉強すべきです。
- ブートプロセスとGRUB
- ファイルシステムの管理
- システム構成ツール
主題2.01: システムの起動とLinuxカーネル
2.01.1 ブートプロセスとGRUB
重要度は以下のようになっています。
4
概要は以下のようになっています。
- ブートプロセス中およびリカバリモードのLinuxシステムを適切に操作する。関連するブートローダはGRUB バージョン2 である。BIOS と UEFI のシステム両方をカバーする。
詳細は以下のようになっています。
- BIOS と UEFI
- Master Boot Record (MBR)
- EFI System Partition (ESP), efibootmgr, UEFI shell
- ブートローダの標準的なオプションの変更とブートローダのシェル(コマンドライン)の使用。
- ブートローダの開始とカーネルへの引継ぎ。
- GRUB の起動メニューを生成する。
- grub-mkconfig, grub2-mkconfig
- カーネルローダブルモジュールのロード。
- initrd, initramfs
- ハードウェアの初期化と設定。
- デバイス、モジュール
- ファイルシステムのチェックとマウント。
- デーモン / サービスの初期化と設定。
- systemctl, systemd.unit
- ハードディスクまたはリムーバルデバイスにおけるブートローダのインストール場所を知っている。
- grub-install, grub2-install
- /boot/, /boot/grub/,/boot/grub2/ および /boot/efi/ の内容
2.01.2 システム起動のカスタマイズ
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- さまざまなターゲットのシステムサービスの動作を照会および変更する。systemd と Linux のブートプロセスについての十分な理解が必要である。これには、systemd ターゲットの操作も含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- systemd
- /usr/lib/systemd/, /etc/systemd/, /run/systemd/, systemctl, systemd-delta
- systemctl status,systemctl list-units,systemctl start/stop,systemctl enable/disable,systemctl mask/unmask
- systemd のrescue モードと emergency モード。
2.01.3 Linux カーネルの構成要素
重要度は以下のようになっています。
2
概要は以下のようになっています。
- 特定のハードウェア、ハードウェアドライバ、システムリソース、およびさまざまな要求に必要となるカーネルの構成要素を利用する。これには、異なる種類のカーネルイメージを実装すること、安定版および開発版のカーネルとパッチを区別すること、カーネルモジュールを利用することなども含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- Kernel の配布形式。
- bzImage , xz データ圧縮
- Kernelのモジュールとドキュメント。
- /usr/src/linux/
- /usr/src/linux/Documentation/
2.01.4 Linuxカーネルのコンパイル
重要度は以下のようになっています。
2
概要は以下のようになっています。
- Linuxカーネルの特定の機能を必要に応じて取り込んだり無効化するために、カーネルを適切に構成できる。また、必要に応じてLinuxカーネルをコンパイルし、新しいカーネルに変更点を書き込み、initrdイメージを作成し、新しいカーネルをインストールできる。
詳細は以下のようになっています。
- /usr/src/linux/
- /usr/src/linux/.config
- カーネルの Makefile
- Kernel 2.6.x、3.x、4.x、5.x のmakeのターゲット。
- all, config, xconfig, menuconfig, gconfig, oldconfig, mrproper, bzImage, modules, modules_install, rpm-pkg, binrpm-pkg, deb-pkg
- カーネル構成をカスタマイズする。
- 新しいカーネルおよび適切なカーネルモジュールを構築する。
- /lib/modules/kernel-version/, gzip, bzip2
- 新しいカーネルおよび必要なモジュールをインストールする。
- module tools, depmod
- ブートマネージャが新しいカーネルおよび関連付けられたファイルを探せるようにする。
- モジュールの構成ファイル
- DKMS を使用してカーネルのモジュールをコンパイルする。
- dkms
- initrd を構成する。
- Dracut,mkinitrd, mkinitramfs
2.01.5 カーネル実行時における管理とトラブルシューティング
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 2.6.x、3.x、4.x、5.x カーネルとそのロード可能なモジュールについての管理や照会ができる。ブートおよび実行時の一般的な問題を特定および修正することができる。udevを使用したデバイスの検知と管理について理解する。これには、udevルールのトラブルシューティングが含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- コマンドラインユーティリティを使用して、現在実行中のカーネルおよびカーネルモジュールに関する情報を取得する。
- depmod, modinfo
- 手作業でカーネルモジュールをロードおよびアンロードする。
- modprobe, insmod, lsmod, rmmod
- モジュールをアンロードできるタイミングを判断する。
- モジュールが受け取るパラメータを判断する。
- /etc/modprobe.d/
- カーネルのバージョンを確認する。
- uname
- /lib/modules/kernel-version/modules.dep
- モジュールをファイル名ではなく別の名前でロードできるようにシステムを設定する。
- /proc ファイルシステム
- /proc/sys/kernel/
- /etc/sysctl.conf, /etc/sysctl.d/, /sbin/sysctl
- /sys ファイルシステム (sysfs)
- /bootおよび /lib/modules の内容
- 利用可能なハードウェアに関する情報を分析するツール
- dmesg, lspci, lsdev, lsusb, journalctl
- udevルール
- udevmonitor, udevadm monitor, /etc/udev/
- /etc内のモジュール設定ファイル
- カーネルダンプを取得する。設定は含まない。
- kdump, kexec
主題2.02: ファイルシステムとストレージ管理
2.02.1 ファイルシステムの設定とマウント
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 標準的なLinuxファイルシステムの適切な設定と操作ができる。これには、各種ファイルシステムの設定およびマウントも含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- fstab設定の概念
- /etc/fstab
- ファイルシステムのマウントとアンマウント
- mount, umount, /etc/mtab, /proc/mounts, systemd
- マウントの順番
- スワップパーティションおよびファイルを操作するツール
- swapon, swapoff, mkswap
- ファイルシステムを特定しマウントするための UUID の使用
- blkid, lsblk
2.02.2 ファイルシステムの管理
重要度は以下のようになっています。
4
概要は以下のようになっています。
- システムユーティリティを使用して、Linuxファイルシステムを適切に保守できる。これには、標準的なファイルシステムの操作およびSMARTデバイスの監視が含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- ファイルシステムを操作するツール
- mkfs (mkfs.), fsck (fsck.)
- ext4を操作するツール
- tune2fs, dumpe2fs, dump, restore
- XFS を操作するツール
- xfs_info, xfs_check, xfs_repair, xfsdump, xfsrestore
- subvolumes と snapshots を含む、 基本的な Btrfs を操作するツール
- ext4 ファイルシステムをBtrfsに変換したり操作する。
- btrfs, btrfs-convert
- HDD, SSD の健康状態を監視できる。
- smartd, smartctl
2.02.3 論理ボリュームマネージャの設定と管理
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 論理ボリューム、ボリュームグループ、および物理ボリュームの作成および削除ができる。これには、スナップショットと論理ボリュームのサイズ変更が含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- LVM のツールと設定ファイル
- lvm, lvm.conf
- 物理ボリュームの作成および削除方法
- pv* コマンド
- ボリュームグループの作成/削除、物理ボリュームの追加/削除、名前変更、有効化/無効化方法
- vg* コマンド
- 論理ボリュームの作成/削除、サイズ変更、名前変更、有効化/無効化方法
- lv* コマンド
主題2.03: ネットワーク構成
2.03.1 基本的なネットワーク構成
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- ネットワークデバイスを設定し、有線または無線のローカルネットワークと広域ネットワークに接続できる。
詳細は以下のようになっています。
- Ethernetネットワークインターフェイスを設定および操作する。デフォルトルートの設定を含む。
- ip, ifconfig, route, arp, nmcli
- 無線ネットワークを構成する。
- iw, iwconfig, iwlist
2.03.2 高度なネットワーク構成
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 複数のサブネットへの経路設定ができる。これにはルータ機能の設定も含まれる。
- ネットワークの状態を監視できる。
- ネットワークのデバイス、通信状態などを分析できる。
詳細は以下のようになっています。
- ルーティングテーブルを操作するユーティリティ
- ip, route
- IPフォワードを設定してルータ機能を実装する。
- /etc/sysctl.conf, sysctl
- ネットワークデバイスの状態を分析するユーティリティ
- ip, ifconfig
- TCP/IPの通信状態やトラフィックを監視および分析するユーティリティ
- ping, ping6, netcat(nc, ncat), tcpdump, nmap, ss, netstat
2.03.3 ネットワークの問題解決
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 一般的なネットワーク設定に関する問題を特定して解決できる。これには、基本的な設定ファイルの位置とコマンドに関する知識も含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- ネットワークの設定に関する情報を取得する。
- hostname, /etc/hostname, /etc/hosts, /etc/resolv.conf, nmcli, ip
- ネットワークの通信経路の問題を特定して解決する。
- traceroute, traceroute6, ip, route, mtr
- ハードウェアの認識と利用に関する情報を取得する。
- dmesg, /var/log/syslogおよび/var/log/messagesなどのシステムのログファイルおよび systemd のジャーナル
- システムの初期化ファイルとその内容(systemd)
- NetworkManagerおよびそれがネットワーク設定に及ぼす影響について知っている。
- /etc/network/, /etc/sysconfig/network-scripts/
主題2.04: システムの保守と運用管理
2.04.1 makeによるソースコードからのビルドとインストール
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- ソースコードから実行プログラムをビルドしてインストールできる。これには、ソースファイルの展開も含まれる。
詳細は以下のようになっています。
- gitを使ってソースコードを入手する。
- git clone, git tag -l, git checkout
- 一般的な圧縮およびアーカイブユーティリティを使用して、ソースコードを展開する。
- gzip, gunzip, bzip2, xz, tar, unzip
- ソースコードにパッチを適用する。
- patch
- configureスクリプトにパラメータを適用する。
- configure
- プログラムをビルドするmakeの実行について基本を理解する。
- make, make install
2.04.2 バックアップとリストア
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 重要なシステムデータをバックアップするシステムツールを使用できる。
- Linuxシステムのバックアップ計画を立てられる。
詳細は以下のようになっています。
- バックアップに含める必要があるディレクトリについて決定できる。
- Amanda、Bacula、Bareos、BackupPCなどのネットワークバックアップソリューションについて知っている。
- バックアップ対象として、ファイル、ブロック、イメージを使い分けられる。
- テープ、ハードディスク、光メディアまたはその他のバックアップメディアを選択できる。
- 容量、保存期間、ライトワンス、シーケンシャル/ランダムアクセス
- 完全バックアップ、差分バックアップ、増分バックアップを使い分けられる。
- バックアップファイルの整合性を確認する。
- バックアップを部分的または完全に復元する。
- dd, tar, /dev/st, /dev/nst, mt, rsync
2.04.3 ユーザへの通知
重要度は以下のようになっています。
1
概要は以下のようになっています。
- 現在発生しているシステム関連の問題についてユーザに通知できる。
詳細は以下のようになっています。
- ログオンメッセージを使用してユーザへの通知を自動的に行う。
- /etc/issue, /etc/issue.net, /etc/motd
- アクティブなユーザにシステムの保守を通知する。
- wall, shutdown, systemctl
2.04.4 リソース使用状況の把握
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- ハードウェアリソースとネットワーク帯域幅の使用率を測定でき、リソースの問題を解決できる。
詳細は以下のようになっています。
- CPU使用率を測定する。
- top, htop, ps, sar
- メモリ使用量を測定する。
- vmstat, free, sar
- ディスクI/Oを測定する。
- iostat, iotop, sar
- I/O 待ちのプロセス, blocks in, blocks out
- ネットワークI/Oを測定する。
- netstat, iftop, ss, sar
- システムがオープンしているファイルやポートを表示する。
- lsof
- ファイアウォール機能とルーティングスループットを測定する。
- クライアントの帯域幅使用率をマップする。
- ネットワーキングを含むシステムにおいてスループットを推定し、ボトルネックを見つけ出す。
- iptraf
2.04.5 死活監視、リソース監視、運用監視ツール
重要度は以下のようになっています。
2
概要は以下のようになっています。
- システム監視の重要性を理解している。
- 監視対象に応じて適切な監視手法を選択できる。
- 運用監視ツールの導入メリットと種類を理解し、適切にシステムを監視できる。
詳細は以下のようになっています。
- システムの障害と予兆についての関連性を知っている。
- リソースの枯渇、過負荷、異常停止、結果異常、OOMKiller
- システムの死活、サービスの死活
- 死活監視の対象と手法
- レスポンス、ログ監視(サーバー、サービス、プロセス、ネットワーク)
- リソース監視の対象と手法
- ログ監視、使用率監視(CPU、メモリ、ストレージ、通信量)、 SNMP
- 運用監視ツールによる監視作業の標準化と自動化
- 標準管理項目、標準のしきい値、標準のアラート方式
- 監視方式のパッケージ化、複数台の監視
- 主要な監視ツールを知っている。
- Icinga2、Nagios、collectd、MRTG、Cacti、Zabbix
2.04.6 システム構成ツール
重要度は以下のようになっています。
4
概要は以下のようになっています。
- システム構成ツールの必要性を理解している。
- システム構成ツールを使って、対象ホストの設定が行える。
詳細は以下のようになっています。
- システム構成ツールの機能、メリットを知っている。
- 自動化の標準化, 効率化, スケール可能, 冪等性
- Ansible の構成要素を理解している。
- インベントリ、モジュール、Playbook
- システムの構成変更を自動化する。
- 仮想サーバー・コンテナの払い出し
- アプリケーションのリリース
- ネットワーク機器のステータス取得・設定変更
- 自動化のためのファイルとツール
- Playbook, YAML
- ansible, ansible-playbook
主題2.05: 仮想化サーバー
2.05.1 仮想マシンの仕組みとKVM
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 基本的な仮想マシンの仕組みについて理解し、KVMを導入して仮想マシンの実行環境を構築できる。
詳細は以下のようになっています。
- 仮想マシンの基本について知っている。
- ホスト型とハイパーバイザー型(KVM, VirtualBox, Xen)
- コンピューターリソース(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク)の仮想化
- KVMを導入し、仮想マシンが稼働するための環境構築および設定ができる。
- QEMU
- 仮想化支援技術(vmxとsvm)
- /proc/cpuinfo, lscpu
- KVMモジュール(kvm-intelとkvm-amd)
- libvirtd
- virt-manager
- ネットワークの構成(bridge-utils)
2.05.2 仮想マシンの作成と管理
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- 各種ツールを使って、仮想マシンを作成し、起動や停止ができる。
詳細は以下のようになっています。
- 仮想マシンを作成し、OSをインストールする。
- virt-manager, virt-install, 完全仮想化と準仮想化(virtio)
- 仮想マシンを起動、停止する。
- virt-manager, virsh
- パフォーマンスを監視する。
- virt-manager
主題2.06: コンテナ
2.06.1 コンテナの仕組み
重要度は以下のようになっています。
2
概要は以下のようになっています。
- 基本的なコンテナの仕組みについて理解している。
詳細は以下のようになっています。
- 物理マシン、仮想マシン、コンテナの特徴と違いを理解している。
- コンテナのファイルシステムとイメージの関係を知っている。
- コンテナを実現する技術の概念を知っている。
- 名前空間, cgroups
2.06.2 Dockerコンテナとコンテナイメージの管理
重要度は以下のようになっています。
3
概要は以下のようになっています。
- Dockerを導入してコンテナ実行環境を構築できる。
- Dockerコンテナを実行できる。
- コンテナイメージを管理できる。
詳細は以下のようになっています。
- Dockerを導入して、ネットワークを構成する。
- ポート変換, フラットL2ネットワーク
- Dockerコンテナを実行して、停止する。
- docker ps/stats, docker run/create/restart, docker pause/unpause, docker stop/kill, docker rm
- Dockerコンテナに接続してプロセスを実行する。
- docker attach, docker exec
- コンテナイメージを管理する。
- Dockerレジストリ: docker images, docker pull, docker rmi, docker import
- Dockerfile: docker build, docker commit