〜AI初心者から合格までのリアルストーリー〜
AI技術への関心が高まるなか、実務スキルを証明できる資格として注目されているのが、CAIP(Certified Artificial Intelligence Practitioner)です。理論から実装、そして倫理的配慮までをカバーする本試験は、決して簡単ではありません。しかし、AI初心者でも正しく準備をすれば合格することは可能です。
この記事では、筆者自身の実際の受験体験談をベースに、学習の過程や試験当日の様子、そして合格のカギとなったポイントを詳しく共有します。
Contents
1. 受験のきっかけと当時のスキルレベル
私がCAIPの受験を決意したのは、AI関連の業務に携わるチャンスが社内で増えてきたのがきっかけでした。とはいえ、当時の私はAIどころか、機械学習についてもほとんど知識がない状態。Pythonの基礎文法が少し書ける程度で、pandasやscikit-learnすら使ったことがありませんでした。
正直、不安だらけのスタートでしたが、「体系的にAIを学べる良い機会」と前向きにとらえ、3か月間の学習スケジュールを立てて取り組みました。
2. 使用した教材と学習スケジュール
CAIP対策に使用した主な教材は以下の通りです。
- CompTIA公式CAIP Study Guide(英語)
- Udemy講座:「AIと機械学習入門コース」
- KaggleのTitanicチュートリアル
- Pythonチュートリアル(公式ドキュメント)
学習スケジュール(約3か月)
- 第1〜2週:AIの全体像と機械学習の基本理論
- 教師あり学習/教師なし学習、回帰/分類の違いなどを把握
- 第3〜6週:Pythonとライブラリの習得
- pandasでのデータ加工、scikit-learnでのモデル構築
- 第7〜9週:実践演習とモデルの精度評価
- 交差検証、混同行列、ROC曲線など
- 第10〜12週:模擬試験と復習
- 苦手な分野を重点的に補強
ポイントは、「毎日少しずつでも触れる」こと。仕事と並行していたため、無理のないペースで進めることを意識しました。
3. 苦労したポイントとその乗り越え方
● 数学的な内容への苦手意識
「損失関数とは何か?」「勾配降下法って何?」といった部分でつまずきました。高校以来ほとんど数学をやっていなかったので、まずはざっくりと直感的に理解することを優先しました。
例えば、YouTubeで「機械学習の仕組みをアニメーションで解説」している動画を視聴したり、ChatGPTでわかりやすく言い換えてもらったりしました。
● 英語での学習
公式教材が英語であるため、最初は読むのに時間がかかりました。対策として、重要キーワードにマーカーを引いて、要点だけを読み込むように工夫。また、英文PDFはDeepLなどで丸ごと翻訳して、ざっくり内容を掴むこともしました。
4. 試験の申込みと当日の流れ
CAIPはピアソンVUEのテストセンターまたはオンラインで受験できます。私は静かな環境を重視して、テストセンターでの受験を選びました。
試験当日の流れ(テストセンター受験)
- 30分前に現地到着
- 身分証明書の確認(運転免許証+クレジットカード)
- ロッカーに私物を預ける
- 試験説明を受けて着席
- 試験開始(制限時間は約2時間)
試験は選択式の問題が中心で、実装コードを書く必要はありません。とはいえ、「この状況ではどのモデルを選ぶべきか?」といった応用的な問題も多く、単なる暗記では太刀打ちできませんでした。
5. 出題傾向と印象に残った問題例
試験問題は大きく以下のようなテーマで構成されていました。
出題傾向
- モデル選定に関するケーススタディ
- データ前処理に関する正誤判断
- 精度評価に使う指標の適用問題
- AI倫理やバイアスに関する設問
- 簡単なPythonコードの理解
印象に残った問題例(例示的な形式)
「売上予測のためにモデルを構築しているが、トレーニングセットとテストセットの精度に大きな差がある。この場合の最も適切な対応はどれか?」
選択肢は:
- A. テストセットを再構成する
- B. モデルの複雑さを下げる
- C. 特徴量を増やす
- D. 正則化を無効にする
(正解はB)
このように、理論だけでなく、実務的な判断力が問われる問題が多かった印象です。
6. 合格後の変化と学んだこと
CAIPに合格したことで、社内でも「AIに詳しい人」として声がかかるようになり、小さな分析案件を任せてもらえるようになりました。まだ実務経験は浅いですが、「理解している」という自信と証明書があることが評価されることを実感しています。
また、勉強を通じて「AIとは何か」という曖昧だった部分が、理論と実践両方の面から理解できるようになり、業界ニュースもスムーズに読み解けるようになりました。
7. 合格のためのポイントまとめ
最後に、実体験を通じてわかったCAIP合格のためのポイントをまとめます。
- 理論と実装のバランスを意識する
理解だけでなく、自分で手を動かして体感することが重要。 - 公式教材と外部リソースを組み合わせる
英語が苦手でも、UdemyやYouTube、日本語書籍を補助にすればカバーできる。 - 苦手分野を可視化して重点的に対策する
模擬試験を繰り返し、自分のウィークポイントを特定。 - 選択肢の「消去法」を鍛える
迷ったときは、まず間違いを消していく方法が有効。 - 1日30分でもいいから継続する
短時間でも毎日続けることで、知識が定着する。
おわりに
CAIPは初心者にとって簡単な資格ではありませんが、正しい準備と継続があれば、十分に合格は可能です。むしろ、AIの基礎を網羅的に学べる良い機会として活用することで、資格以上の学びが得られるはずです。
この記事が、これから受験を目指す方の参考になれば幸いです。もし、さらに詳しい学習ロードマップやおすすめ教材の紹介が必要であれば、お気軽にお知らせください!