Contents
基本情報技術者試験の対象者
公式サイトでは「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」としています。
基本情報技術者試験の期待する技術水準
公式サイトでは期待する技術水準を以下のようにおいています。
1 情報技術を活用した戦略立案に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。 ① 対象とする業種・業務に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。 ② 上位者の指導の下に、情報戦略に関する予測・分析・評価ができる。 ③ 上位者の指導の下に、提案活動に参加できる。
2 システムの設計・開発・運用に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。 ① 情報技術全般に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。 ② 上位者の指導の下に、システムの設計・開発・運用ができる。 ③ 上位者の指導の下に、ソフトウェアを設計できる。 ④ 上位者の方針を理解し、自らソフトウェアを開発できる。
基本情報技術者試験の出題形式
試験時間・出題形式・出題数(解答数)は以下のようになっています。
午前 | 午後 | |
---|---|---|
試験時間 | 150分 | 150分 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式 |
出題数 解答数 | 出題数:80問 解答数:80問 | 出題数:11問 解答数:5問 |
基本情報技術者試験の試験範囲
出題範囲の広さで有名なのが情報処理技術者試験です。情報処理に関する問題はもちろん情報分野の関連法規、経営学用語や企業会計の簿記の分野まで、おおよそ情報処理に関係ないと思われることまでが試験範囲に含まれています。
以下で細かくみていきます。
午前試験の出題範囲
テクノロジ系(午前80問中50問)
- 1.基礎理論(離散数学・応用数学・情報理論・通信理論・計測制御理論)
- 2.アルゴリズムとプログラミング (データ構造・アルゴリズム・プログラミング・プログラム言語・マークアップ言語など)
- 3.コンピュータ構成要素(プロセッサ・メモリ・バス・入出力デバイス・入出力装置)
- 4.システム構成要素(システムの構成・システム評価指標)
- 5.ソフトウェア(オペレーティングシステム・ミドルウェア・ファイルシステム・開発ツール・オープンソースソフトウェア)
- 6.ハードウェア(ハードウェア全般)
- 7.ヒューマンインターフェイス(ヒューマンインターフェイス技術・インターフェイス設計)
- 8.マルチメディア(マルチメディア技術・マルチメディア応用)
- 9.データベース(データベース方式・データベース設計・データ操作・トランザクション処理・データベース応用)
- 10.ネットワーク(ネットワーク方式・データ通信と制御・通信プロトコル・ネットワーク管理・ネットワーク応用)
- 11.セキュリティ(情報セキュリティ・情報セキュリティ管理・セキュリティ技術評価・情報セキュリティ対策・セキュリティ実装技術)
- 12.システム開発技術(システム要件定義・システム方式設計・ソフトウェア要件定義・ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計・ソフトウェア構築・ソフトウェア結合/ソフトウェア適格性確認テスト・システム結合/システム適格性確認テスト・導入・受入支援・保守・廃棄)
- 13.ソフトウェア開発管理技術(開発プロセス手法・知的財産適用管理・開発環境管理・構成管理・変更管理)
マネジメント系(午前80問中10問)
- 14.プロジェクトマネジメント(プロジェクトマネジメント・統合マネジメント・ステークホルダマネジメント・スコープマネジメント・タイムマネジメント・コストマネジメント・品質マネジメント・資源マネジメント・コミュニケーションマネジメント・リスクマネジメント・調達マネジメント)
- 15.サービスマネジメント(サービスマネジメント・サービスの設計/移行・サービスマネジメントプロセス・サービスの運用・ファシリティマネジメント)
- 16.システム監査(システム監査・内部統制)
ストラテジ系(午前80問中20問)
- 17.システム戦略(情報システム戦略・業務プロセス・ソリューションビジネス・システム活用促進・評価)
- 18.システム企画(システム化計画・要件定義・調達計画・実施)
- 19.経営戦略マネジメント(経営戦略手法・マーケティング・ビジネス戦略と目標・評価・経営管理システム)
- 20.技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案・技術開発計画)
- 21.ビジネスインダストリ(ビジネスシステム・エンジニアリングシステム・e-ビジネス・民生機器・産業機器)
- 22.企業活動(経営組織論・OR/IE・会計財務)
- 23.法務(知的財産権・セキュリティ関連法規・労働関連/取引関連法規・その他の法律/ガイドライン/技術者倫理・標準化関連)
午後試験の出題範囲
- 1.コンピュータシステムに関することハードウェア 数値・文字・画像・音声の表現,処理装置,記憶装置と媒体,入出力装置,命令実行方式,アドレス方式,システム構成 などソフトウェア OS,ミドルウェア,アプリケーションソフトウェア,言語処理ツール などデータベース データベースの種類と特徴,データモデル,正規化,DBMS,データベース言語(SQL)などネットワーク ネットワーク構成,インターネット,イントラネット,プロトコル,データ通信,伝送制御 など
- 2.情報セキュリティに関すること情報セキュリティポリシ,情報セキュリティマネジメント,データベースセキュリティ,ネットワークセキュリティ,アプリケーションセキュリティ,物理的セキュリティ,アクセス管理,暗号,認証,不正アクセス対策,マルウェア対策(コンピュータウイルス,ボット,スパイウェアほか),個人情報保護 など
- 3.データ構造及びアルゴリズムに関すること配列,リスト構造,木構造,グラフ,整列,探索,数値計算,文字列処理,図形処理,ファイル処理,計算量,誤差 など
- 4.ソフトウェア設計に関することソフトウェア要件定義,ソフトウェア方式設計,ソフトウェア詳細設計,構造化設計,モジュール設計,オブジェクト指向設計,Web アプリケーション設計,テスト計画,ヒューマンインタフェース など
- 5.ソフトウェア開発に関することプログラミング(C,COBOL,Java,アセンブラ言語,表計算ソフト),テスト,デバッグなど
- 6.マネジメントに関することプロジェクトマネジメント プロジェクト計画,見積手法,品質管理,スケジュール管理,コスト管理,要員管理,リスク管理 などサービスマネジメント サービスマネジメントプロセス(サービスレベル管理,サービス継続及び可用性管理,キャパシティ管理,インシデント及びサービス要求管理,問題管理,変更管理ほか),サービスの運用(システム運用管理,運用オペレーション,サービスデスク) など
- 7.ストラテジに関することシステム戦略 プロジェクト計画,見積手法,品質管理,スケジュール管理,コスト管理,要員管理,リスク管理 など経営戦略・企業と法務 経営戦略手法(アウトソーシング,競争優位,SWOT 分析ほか),マーケティング(マーケティング理論,マーケティング手法ほか),企業活動,会計・財務,法務,標準化関連など
基本情報技術者試験ではどんな問題が出題されるのか
午前試験の過去問から、8問抜粋してご紹介します。詳細な解説は省略していますが、試験の力試しとイメージ作りにご利用下さい。
【問1】(H24春期 問1) 次の10進小数のうち,8進数に変換したときに有限小数になるものはどれか。
ア:0.3 イ:0.4 ウ:0.5 エ:0.8
【問2】(H27春期 問5) キューに関する記述として,最も適切なものはどれか。
ア:最後に格納されたデータが最初に取り出される。 イ:最初に格納されたデータが最初に取り出される。 ウ:添字を用いて特定のデータを参照する。 エ:二つ以上のポインタを用いてデータの階層関係を表現する。
【問3】(H25春期 問15) MTBFが45時間でMTTRが5時間の装置がある。この装置を二つ直列に接続したシステムの稼働率は幾らか。
ア:0.81 イ:0.90 ウ:0.95 エ:0.99
【問4】(H27秋期 問33) IPv4にはなく,IPv6で追加・変更された仕様はどれか。
ア:アドレス空間として128ビットを割り当てた。 イ:サブネットマスクの導入によって,アドレス空間の有効利用を図った。 ウ:ネットワークアドレスとサブネットマスクの対によってIPアドレスを表現した。 エ:プライベートアドレスの導入によって,IPアドレスの有効利用を図った。
【問5】(H28春期 問39) 公開鍵暗号方式を採用した電子商取引において,認証局(CA)の役割はどれか。
ア:取引当事者間で共有する秘密鍵を管理する。 イ:取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。 ウ:取引当事者のディジタル署名を管理する。 エ:取引当事者のパスワードを管理する。
【問6】(H21秋期 問52) あるシステムを開発するための工数を見積もったところ150人月であった。現在までの投入工数は60人月で,出来高は全体の3割であり,進捗に遅れが生じている。今後も同じ生産性が続くと想定したとき,このシステムの開発を完了させるためには何人月の工数が超過するか。
ア:50 イ:90 ウ:105 エ:140
【問7】(H22春期 問66) 要件定義の段階で行う作業はどれか。
ア:新たに構築する業務とシステムの仕様を明確化し,システム化範囲を明示する。 イ:顧客が記述したニーズに合ったソフトウェアを開発する。 ウ:事業の目的,目標を達成するために必要なシステム化の方針を立案する。 エ:ソフトウェア製品の運用及び利用者に対する運用支援を行う。
【問8】(H26春秋期 問79) 著作権法によるソフトウェアの保護範囲に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア:アプリケーションプログラムは著作権法によって保護されるが,OSなどの基本プログラムは権利の対価がハードウェアの料金に含まれるので,保護されない。 イ:アルゴリズムやプログラム言語は,著作権法によって保護される。 ウ:アルゴリズムを記述した文書は著作権法で保護されるが,プログラムは保護されない。 エ:ソースプログラムとオブジェクトプログラムの両方とも著作権法によって保護される。
【解答】 問1:ウ 問2:イ 問3:ア 問4:ア 問5:イ 問6:ア 問7:ア 問8:エ